ベルガモットを育てる
ベルガモットを育ててみよう
ベルガモット(Citrus bergamia)は、レモンやオレンジと同じミカン科ミカン属の常緑果樹です。世界的な主産地はイタリア南部のカラブリア州です。
日本ではまだ栽培事例が少なく、栽培技術も十分に確立されているとはいえません。基本的にはレモンなどの香酸柑橘に近い管理ができますが、寒さへの対策や病害虫防除、収穫目的に応じた果実管理が重要になります
1 苗木の購入
苗木は近年ホームセンター等でも販売されています。元気そうなものを選んでください。
沢山必要な場合は福岡県「田主丸」地域の苗木事業者さんに相談してください。「田主丸 苗木」で検索すると沢山出てきます。カンキツ苗は出荷の1年前の3月くらいに生産開始するので、2月頃までに相談すると希望の数量を確保できます。
ベルガモットは柚子、グレープフルーツ並に樹勢が強い柑橘です。台木は国内販売モノですと基本的にカラタチが多いです。カラタチで育てるとミカンでは台勝ちしますが、ベルガモットでは台木と全く同じ太さに育ちます。そのくらい樹勢が強い柑橘です。ちなみにイタリアではビターオレンジ台木が多く、台負けさせて栽培する画像を確認することが出来ます。これは樹勢コントロールのためではないかと思われます。
2 適地・日照
ベルガモットは温暖で日当たりのよい場所を好みます。原産地とされる地中海沿岸地域のように、冬が比較的温暖で、日照時間を十分に確保できる環境が適しています。
国内で露地栽培する場合は、柑橘類の栽培が盛んな太平洋側の温暖地などが候補になります。ただし、ベルガモットは一般的な温州ミカンほど低温に強い果樹ではありません。特に幼木は寒害を受けやすいため、霜や氷点下の低温が続く地域では防寒対策、もしくは大苗移植が必要です。(弊社萬秀フルーツでは屋外に植えた1年苗が寒さで全滅したこともありました。営利栽培&毎年定量生産のためリスクを保有できないので、弊社では全て温室にて栽培しています。)
家庭栽培では、南向きで北風を避けられる場所が適しています。寒冷地では鉢植えにして冬季に屋内や温室へ移動する方法もあります。
日照不足になると枝が軟弱になり、着花・着果や果実品質にも影響します。できるだけ一日を通して日光が当たる場所を選びます。
3 栽培管理
基本的な栽培方法はレモンなどの柑橘類に準じます。
水はけがよく、有機物を含んだ土壌を好みます。水分は必要ですが、長期間根が過湿状態になる場所は避けます。植え付け時には排水性を確認し、水が停滞する土地では高畝にするなどの対策を行います。水田転換園を避け、これまでに果樹が栽培されていた畑を選ぶと無難です。
植え付け後の幼木期は、まず樹を大きくすることを優先します。早い時期から多くの果実を付けると樹の生育が弱くなるため、植付後2年ほどは着果させず全て摘蕾します。その後は樹齢や樹勢に応じて摘果、着果寮管理します。
肥料は春の発芽・開花期、果実肥大期、収穫後など、樹の生育に合わせて施します。ただし、窒素肥料が多すぎると枝葉ばかりが伸びたり、病害虫が発生しやすくなったりするため、樹勢を見ながら調整します。
ベルガモット栽培で特に重要なのは、「何に利用する果実を作るのか」を考えることです。果汁利用、果皮利用、生果販売、精油原料では求められる品質が異なります。特に果皮を食品や香料として利用する場合は、外観だけでなく農薬の使用方法や収穫後の取り扱いまで含めた管理が必要になります。
4 病害虫対策
ベルガモットにも、他の柑橘類と共通する病害虫が発生します。
害虫では、ミカンハモグリガ、アブラムシ類、カイガラムシ類、ハダニ類、アゲハ類などに注意します。特に幼木では、新芽をミカンハモグリガに繰り返し加害されると樹の成長が遅れることがあります。
病害では、かいよう病、そうか病、黒点病など、柑橘類で問題になる病気に注意します。風による葉や果実の傷から感染が広がる病気もあるため、風当たりの強い園地では防風対策も重要です。
病害虫は発生してから対処するだけでなく、風通しのよい樹形を保つこと、枯れ枝や病害枝を除去すること、園内を清潔に保つことなど、日常的な管理によって発生しにくい環境を作ることが基本になります。
農薬は「カンキツ」で登録してあるモノが利用できます。調べて必要に応じて散布しましょう。
AIですぐ調べてくれますがハルシネーションの可能性もありますので、使用前に必ずラベルの適用表を確認して散布してください。
5 整枝、剪定
ベルガモットの苗の段階から理想とする樹形をイメージし、添え木等で誘引しながら栽培します。通常の柑橘類に比べて非常に枝が折れやすい避けやすい為、添え木は有った方が良いでしょう。(台風や風でも折れる、作業して身体があたっても折れる、果実の自重でも折れます)
剪定では、枯れ枝、内向枝、交差枝、徒長枝などを整理し、樹冠内部まで光が入る状態を作ります。ただし、一度に強く切り戻すと徒長枝が多く発生することがあるため、毎年少しずつ樹形を整えていく方が管理しやすくなりますというのが一般論ですが、樹勢があまりに強い為、春芽で70cm、夏芽で80cm、秋芽で70cmなんて伸長がざらに発生します。みかんの考え方で仕立てをしない方が良いのと、前言撤回になりますが理想を追わず樹に任せるのも一つだと思います。なお、株間は最低4m必要です。
通常剪定は「樹の大きさの維持」「日照」「風通し」「収穫作業性」「果実品質」「病害虫対策」など、さまざまな意図がありますが、ベルガモットにおける剪定の目的を定義し直すと上手くいくかもしれません。
6 着花
他の柑橘同様、充実した結果母枝や経年枝を確保すれば基本的に着花しますが、
ベルガモットは亜熱帯よりの柑橘にかかわらず、樹勢が旺盛も有って、晩秋まで新しい芽が出続けます。その為確保したはずの結果母枝から芽がつないでしまう事が多々発生します。
とくに植付後数年間は、全ての枝が新しい為、春になっても花が皆無ということがザラに発生します。どうしても開花させたいときは芽止め剤(ターム)を検討しましょう。数年栽培し、開花する母枝になり得るモノがわかってきたら剪定の仕方を考え直してみてください。
7 開花、摘果、枝吊り
開花は他の柑橘と同時期に開花します。
直花、有葉花両方みられますが、みかんの直花と異なり、1カ所から4-8個ほど固まって花が咲き、そのまま結実することが多いです。そのため子房と子房の間に花びらつまりうまく落弁せず灰色カビ病の原因となることがあります。
またそのまま押しくら饅頭のように成長していくと変形果のもととなるので数を減らし1塊あたり4個ほどに摘果した方が良いでしょう。ちなみに6個ほどだと収穫時にハサミを入れるところが無く、1つちぎってから収穫って感じになっていまい結果1玉損失発生します。
前述のようにベルガモットは非常に枝が折れやすい柑橘です。果実がある程度の重さになってきたら枝吊りをしてあげてください。露地栽培の場合、枝釣り用のパイプの設置は必須です。多少の枝折れは気にしないという方は別です。
成長が早く、木部がしっかりとした堅さを持つ前に、木全体が成長しますので、時に自重で根元から裂けるように枝がバキバキ折れる時もあります。
8 収穫時期
ベルガモットの収穫時期は、地域や栽培環境によって異なります。日本では秋から冬にかけて果実が成熟し、果皮の色も緑色から徐々に黄色へ変化していきます。
ただし、ベルガモットは「黄色くなったら収穫」という単純な果実ではありません。
成熟に伴って、果皮色、酸度、果汁量、苦味、香りの質などが変化します。そのため、香料、果汁、製菓、カクテル、生果販売など、用途によって適した収穫時期が異なる可能性があります。
特にベルガモットの最大の特徴である香りを活かす場合、収穫時期は重要な品質要素です。単純な糖度や着色だけではなく、目的とする香りや加工適性を基準に収穫時期を決めることが重要です。
・クラフトジンのボタニカルやアールグレイの精油原料であれば9月10月もありでしょう。
・バーでは11月12月モノが好まれる事が多いです
・製菓、ジャムやシロップに利用する場合2月中旬まで成らせての樹上完熟がおすすめです。
お客さんにぜひ最適時期を提案してあげてください。
9 収穫方法
収穫は果実を引っ張って取るのではなく、果実を傷付けないよう必ずハサミを使用し、2度切りにて収穫します。
ベルガモットは果皮そのものに高い利用価値があります。そのため、一般的な果汁用柑橘以上に果皮の傷や打撲に注意する必要があります。
収穫時や運搬時には果実を投げたり、コンテナへ大量に詰め込んだりせず、果実同士の摩擦や圧迫をできるだけ避けます。果皮を利用する果実ですので、果実の中身だけではなく「皮も商品」であるという考え方で扱います。
また、雨や露で果実が濡れている状態での収穫・箱詰めは、貯蔵中の腐敗リスクを高めるため注意が必要です。
10 保存、出荷方法
ベルガモットは収穫後も呼吸を続けており、時間の経過とともに果皮の水分、色、香り、果汁品質などが変化していきます。
短期間で使用する場合は、乾燥を防ぎながら涼しい場所または冷蔵環境で保存します。長期間保存する場合には、温度だけでなく湿度や包装方法も重要になります。
特に注意したいのが「外観が保たれていること」と「香りが保たれていること」は必ずしも同じではないという点です。見た目には十分商品価値がある果実でも、収穫直後と比較すると香りの強さや構成が変化している可能性があります。
ベルガモットは果皮の香りが大きな価値を持つ果実です。そのため、保存期間についても単純に「腐らず何か月保存できるか」だけではなく、「目的とする香りや品質をいつまで維持できるか」という視点で考える必要があります。
生果として利用するのか、果汁を利用するのか、果皮を加工するのかによって、適した収穫時期と保存方法は変わります。ベルガモットでは、栽培から収穫、保存、最終用途までを一つにつなげて考えることが、品質を活かすための重要なポイントです。
長期保存にはPプラス、オーラパックといった鮮度保持袋とeフレッシュのようなエチレン吸着資材を併用しての冷蔵保管がおすすめです。
ベルガモットはとくに若い果実の時は果皮のワックス層が軟弱です。8月品などを普通のみかんにようにゴロゴロ箱に詰めて出荷すると、宅配便で届く1-2日後には果実同士が当たった箇所が茶色く変色します。8月品などとくに若い果実の際はフルーツキャップなど検討しましょう。11月下旬12月あたりにると果皮にレモンほどの強度が出てきますので、箱にゴロゴロ詰めても大丈夫でしょう。
